ついに募集が始まったサイコミマンガ賞。

しかも、今回はスポーツマンガ部門恋愛マンガ部門の二本立て!

とはいえ、募集要項だけでは
『どんな作品を送ればいいの?』
『受賞したらどんないいことがあるの?』

など疑問は尽きません…。

そこで、現在サイコミで連載をなさっているお二人にお話を伺いました!

スポーツマンガ部門
Forward!
吉田雄太先生
恋愛マンガ部門
明日、私は誰かのカノジョ
をのひなお先生

お二人は各部門の審査員も担当していらっしゃいます。
投稿者の皆様はもちろん、読者の皆様も楽しめる情報がいっぱいですので、ぜひご一読ください!


■連載に至るまで

――本日はお忙しいところありがとうございます!よろしくお願いします!

吉田先生・をの先生:よろしくお願いします。

――さっそくではありますが、まずはお二人がサイコミで連載するに至った経緯を教えてください。

吉田先生:ぼくは約2年前にサイコミの新人賞に応募して、そこで受賞したのがきっかけですね。その頃は友人とルームシェアしてて、スーパーでお惣菜を作ってるだけの生活だったんです(このあたりのやりとりは『Forward!』あとがきマンガで語られています)。
 さすがにそろそろ何かしないといけないなと思っていたところに…賞金が高いマンガ賞があるぞ、と(笑)。
 結果、運よく受賞して100万円もらえて、引っ越しも出来て…編集長から「何か連載でやってみたいジャンルはありますか?」と聞かれたときに、「サッカー」って答えて…『Forward!』が生まれました!
 ちょうどサイコミがスポーツマンガを欲していたタイミングだったそうで、そこからはとんとん拍子に進みました。打ち合わせの翌週には主人公が決まって、その翌週には1話のネームが決まって…連載まで4か月くらいで駆け抜けましたね。


【『Forward!』は紙の本2巻、電子単行本5巻まで発売中】

――それは早い方なのでしょうか?

吉田先生:週刊連載ですと「描き溜めの必要もあるから最低半年」って言われているので、早い方だと思います。
 その分、描き溜めもほとんどなくて、始まってからは大変でした(苦笑)。

――をの先生はいかがでしたか?

をの
先生:私の場合は最初に担当さんと出会ってから連載まで約1年かかっていますが、企画が通るまでは3か月くらいでしたので早い方だと思います。
 サイコミさんが再創刊したころで、ゴールデンウィークに合わせた新連載にしたいとのことで、少し余裕がありました。

【『明日、私は誰かのカノジョ』は紙と電子ともに3巻まで発売中】 


――をの先生は新人賞ではないんですね…ということは、サイコミには持ち込みや編集からのスカウトだったのでしょうか?

をの先生:実は、Twitterでも描いたことがあるのですが、同人誌即売会にはじめて出た時に今の担当さんをスタッフさんと間違えて声をかけたのがきっかけなんです。
 その時に作品を見ていただいて、あとでメールをくれるって話になって、本当にメールが来て…。当時はマンガ家になろうなんて思ってなかったので、わけもわからず打ち合わせをしてネームを描いていたら、『通ったから連載するよ』という話になりました。

【をの先生と担当編集の出会い】
――そんなこと、あるんですね…!

をの先生:はい(笑)。私も最初は実感がなくて、段々と準備をしていく中で『本当に連載するんだな』って少しずつ覚悟が固まっていきました。

■作品の作り方

――お二人とも大きな苦労はなく連載に辿り着かれていますが、それだけ作品に力があったということなのではないかと思います。投稿者の皆様が一番最初に悩むのは「どんな題材を選ぶのか」だと思うのですが、お二人はどのようにして『サッカー』や『レンタル彼女』という題材に至ったんですか?

吉田先生:2010年ワールドカップでサッカーにハマって、それからずっと追いかけていたんです。
 サッカー選手って個性的な方も多くて、面白いんですよ。特に何人かの選手はそのままマンガで描きたいって思えるくらいキャラが立っていたので、サッカーを題材に、サッカー選手を描けたら面白いだろうなと思っていました。
 そこから10年近く温めていた題材だったので、連載をするならこれだなと。

――ずっと温めていらしたんですね。をの先生は?

をの先生:私は担当さんから「どんな話が好き?」って聞かれて、「男女のどろどろとした複雑な恋愛ものとかをよく読みます」と答えたら、「じゃあ、そういうものを作ってみよう」という話になって、担当さんと一緒に色々な題材を上げていきました。
 その中で、今の時代で『疑似恋愛』を描くなら、ちょうどいい距離感なんじゃないかなということで『レンタル彼女』を選びました。

――担当さんとの話し合いの中で決まっていったんですね。…お二人とも、ご自身の興味の中から、「マンガ」に向いたものを選びぬいているという点は、共通しているかもしれませんね。
 作家さんが次に悩むところというと、やはり「主人公」かなと思うのですが、それぞれの主人公作りの過程を教えていただけますか?


吉田先生:大前提としてですが、漫画の主人公にとって一番大切なのははっきりした価値観があることだと思います。
 例えば『Forward!』の場合にはブッキから作り始めました。ブッキにはズラタン・イブラヒモビッチ(編注:スウェーデン代表のサッカー選手。今も現役でありながら故郷に銅像が建てられるほどのカリスマ性を持つ)っていうモデルがいるんですが、彼がとにかく破天荒でトラブルメーカーで口が悪いけどサッカーだけはうまいんですよ。
 なので、相棒の心くんはブッキと真逆で、クールで現実主義者で、だけどサッカーはわからないってキャラにしました。
 でも、ただのサッカー漫画を描いても埋もれてしまうなと思ったので、ちょっとしたファンタジー要素が欲しいと思い、『ブッキが幽霊としてとりつく』という設定を入れました。

【破天荒なサッカー選手ブッキとクールな心の組み合わせ】


をの先生:私は雪もそうですし、ほかのキャラクターもそうですけど、全部はだめでも少しでも「共感」できるところのあるキャラになるようにと思っていますね。
 現代を舞台にした恋愛ものなので、「共感」が一番大切なのではないかと。

――雪は顔のあざも印象的でしたね。

をの先生:あざは、編集部の方からの提案で入れてみました。結果的に、雪のコンプレックスを象徴するものになりましたね。【雪の大きなコンプレックスとなった顔のあざ】


――そういったほかの人のアイデアを取りこんでいけるのも連載の面白さかもしれませんね。

吉田先生:確かに多くの人のアイデアをもらえるのはありがたいですね。『Forward!』の場合は編集長やサッカー経験者のマネージャーなど、男4人で集まって話しながら作っていますから。

――打ち合わせではどのようなお話をなさるのですか?

吉田先生:全員で話しながらアイデアを集めて、毎週の流れが決まります。
 『Forward!』の場合にはその日のうちにプロットを固めて、最後にみんなでそれを確認して帰るって感じです。
 次の日にはネームを組むのですが、プロットの段階でどこに何を入れるのかはだいたい決まっているし、編集長含めて確認も済んでいるのでほとんど修正することはありません。
 ほかの漫画編集部と比べて効率的だなと感じています。

――週刊ですと効率も大切ですね。をの先生はどのように作っていらっしゃいますか?

をの先生:打ち合わせでは毎回共感できるシーンを一つは作るようにしています。
 「こういうことあるよね」と言えるところを編集さんに聞いてもらって、確認しながら考えをまとめていきます。
 そこからキャラクターのセリフだけを書き出した簡単なプロットを作り、それを基にネームにしていくのですが、ネームでは読み飛ばされても大丈夫なセリフと、ちゃんと読んでほしいセリフのメリハリをつけるような配置を意識しています。
 絵的にもアプリですと拡大して見られることは少ないので、コマを大きめに、読みやすくなるように工夫するのも大切ですね。

――もしかしたら投稿作も、誰かと話し合いながら作ってみるのもアリかもしれませんね。
 さて、そうして出来上がったネームを原稿にするわけですが…お二人の制作環境での工夫を聞いてもいいですか?


吉田先生:ぼくは出来るだけスペックの高いパソコンを注文して、液晶タブレットを使って、クリスタ(編注:セルシス社『CLIP STUDIO PAINT』のこと。多くの作家さんが利用している)で描いてます。フリーズするのがすごく嫌なのでメモリは多めの32GBです。一応、iPadにもクリスタを入れてあって、何かトラブルがあってもそっちで作業できるようにしています。
【吉田先生の作業環境】

をの先生:私は液晶タブレットと一体型になっているパソコンを使っています。家では原稿できないので、編集部にあるネームスペースを一区画借りて、そこで作業しているんです。家だと誘惑が多くてサボってしまうので(笑)。

【をの先生の作業環境】
吉田先生:確かに家は誘惑が多いですよね。
 作画しながら映画やアニメを見たりしていると、ついそちらを見てしまったりします。
 ぼくもネーム室をたまに使わせてもらいますが、やっぱり集中できるので家以外の場所で原稿までやってしまうのはいい方法かもしれません。

■サイコミで連載するメリット

――吉田先生はサイコミ編集部の人たちと打ち合わせをしてプロットを作る。をの先生は作業環境としてサイコミの施設を使う。どちらも『サイコミ』のメリットを生かしていると思うのですが、それ以外で『サイコミ』のいいところはありますか?

吉田先生:原稿料が高いところですね。アシスタントさんにある程度支払っても生活ができます。
 さらにアプリ内での印税と、電子書籍の印税と、紙の書籍の印税も入ってきます。
 貯金がすごくできます。
 正直な話、スーパーで働いていた時と比べると年収は10倍近いかもしれません(笑)。

をの先生:本当にお金については助かりますね。
 アプリ内で人気が出てセールスも上がると、かなりの金額が振り込まれます。ちょっと、驚くくらいの…。

――をの先生も年収は上がりましたか?

をの先生:そうですね。上がりました。
 今はまだ、買いたい服を買うくらいで実感がないんですけど、かなりの金額をもらえています。
 少し前の私には考えられないくらい金額です。
 今回の新人賞の応募要項を拝見したんですけど、賞金が出て、連載にもつながるって、ビッグドリームなんじゃないかと思いました。

賞金+連載への近道!まさにビッグドリーム!

■投稿者へのメッセージ

――ビッグドリーム…いい言葉です。
 そんなビッグドリームを掴むかもしれない、投稿者の皆様に、お二人からメッセージをいただけませんでしょうか。

吉田先生:そうですね…。
 好きな漫画を描くだけじゃなくて、周りを見渡してみて、必要な漫画というか、読まれる漫画を目指してほしいと思います。
 それが多分売れやすくなる条件だと思っているので、一緒に売れるように頑張りましょう!

をの先生:現代をテーマにした恋愛マンガということで、マッチングアプリやSNSなどの現代らしいテーマを扱った作品が読めるのかな、と楽しみにしています。
 受賞した暁には、ぜひ、一緒にサイコミを盛り上げていきましょう!

――お二人とも、本日はありがとうございました。