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  • 『貴族たちの聖夜企画』


  • クリスマスイブなのにサイコミに来てしまったキミへ
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  • 12月某日。
    クリスマスも目前に迫るある日、サイコミ編集部のモテない男たちが、会議室に集められた。
  • かーくん  
    「この1年、何をやっていた?」

    あずにゃん 
    「……え?」

    みつを   
    「急にどうしたんスか?」

    あべしん  
    「サイコミ再創刊の準備とか色々……」

    かーくん  
    「どうでもいい話をするな!!!」

    あべしん  
    「えっ!!?」
  • かーくん 
    「このままで本当にいいんですか? 一人でクリスマス過ごすんですか??」

    そう、この会議室に集まっていたのは、サイコミ編集部が誇る……否、まったくもって誇らない、モテない男性陣なのである。
  • みつを  
    「クリスマスまで、まだ1週間もありますよ?」

    かーくん 
    「もう1週間しかないんだよ!(机を叩く)君たちは何をする予定なんだ!?」

    みつを  
    「クリスマスは家族で過ごします。甥のお世話するんで。……女性はいないです」

    あずにゃん
    「作家さんとごはん食べて、打ち上げ忘年会して、忘年会して……終わりですね」

    あべしん 
    「僕も、今年は仕事に専念するつもりです。家でケーキ食べながら一人でゲームします」

    かーくん 
    「仕事関係ないじゃないか!」



    あずにゃん
    「そういうかーくんさんはどうなんですか?」

    かーくん 
    「俺はこの2ヶ月、堅実な努力を重ねてきた。お見合い、婚活パーティ、お料理合コンなどの異業種交流会を通し、たくさんの人と会って……」

    あずにゃん
    「それで、成果は?」

    かーくん 
    「……1つもない」

    みつを  
    「クリスマスの予定、ないんスか?」

    かーくん 
    「あったらこんな企画はないんだよ!」

    あべしん 
    「……」

    みつを  
    「……」

    あずにゃん
    「……」

    かーくん 
    「そこで今日は、モテる方法について議論したい。恋人ってどうやって作るの?」
  • あずにゃん
    「皆、元カノとはどうやって出会ったんですか?(ゲス顔)」

    あべしん 
    「僕は前の職場の同僚でしたね。やっぱり一緒の時間を共有をすることが大事です。あとは連絡をマメにしてたら、いつの間にか一緒にいました」
  • かーくん 
    「正統派! やり手だなぁ……」

    あべしん 
    「まあ、別れたんですけど。2ヶ月前に」


    モテない同士で話し合っても有意義な案が出るはずは無いのだが、彼らはそんなことにも気づかない。だからモテないのだ。


    みつを  
    「僕は紹介で仲良くなって、そのあと2人で遊びに行ってokもらった感じっス」

    かーくん 
    「どうやって遊びにいったんだ?」

    みつを  
    「ご飯いきませんか? いいよ~からの、楽しかったから遊びにいこうよ、です。それで映画を観にいって、そのままの流れでご飯、そして告白。告白の目安は3回目ですね。3回でケリを付けろというのが鉄則です」
  • あずにゃん
    「大事なのは、普通の人から紹介してもらうことです。俺たちオタクの世界には女性との付き合いがある人っていないんで、他のコロニーから女性を連れてこないと彼女なんてできないんです」
  • あずにゃん
    「まあ、僕は仕事をとったんで、今は彼女いないんですけど」

    あべしん 
    「俺も仕事をとりました。仲間です(手を差し出す)」

    あずにゃん
    (無言で握り返す)

    かーくん 
    「固い握手を交わすな!」
  • かーくん 
    「どうやったらモテるようになるんだ……」

    みつを  
    「ていうか、かーくんさんが一番やばいですよね。年齢的に」

    かーくん 
    「……え?」


  • あずにゃん
    「残されたチャンスが少ない」

    かーくん 
    「……え? え?」


    人間は誰かを見下すことで精神的な安定を保っている。非モテ同士の中にもヒエラルキーが存在する、という地獄のような事実を筆者は目の当たりにした。


    あずにゃん
    「かーくんさんはお見合いとかしてるんですよね?数こなしてもダメってことは、にじみ出る気持ち悪さがあるのでは?」


    かーくん 
    「にじみ出る気持ち悪さ」


    あべしん 
    「女性の前だけで見せる、気持ち悪い何かがある。例えば、バブみを求めるとか」

    あずにゃん
    「バブみでおぎゃるのが好きなんですか?」

    かーくん 
    「ちょ、なに言って……」



    みつを  
    「てか、何歳ぐらいを狙ってるんスか?」

    かーくん 
    「20歳後半とか……」

    みつを  
    「(小声)ちょっと難しいなぁ……」

    かーくん 
    「なんだよ! なんなんだよ!」

    みつを  
    「同い年ぐらいの人を狙ったほうが無難っスよ!」

    あずにゃん
    「さすが新卒。微妙に上司の価値観をディスりはじめたなぁ」

    みつを  
    「20代後半は30代前半を求めるかもしれないですけど、基本的には同い年を探しますよね」

    かーくん 
    「急にまじめなこと言うなよぉ!!! まだ気持ち悪いの方がよかったよ!」


    20代にとって、金のある30代に縄張りを荒らされるのは迷惑でしかない。新卒みつをの無垢なる防衛本能が、かーくんの心を傷つけた。


    かーくん 
    「どうやったら女性にモテるようになる?」

    あずにゃん
    「お金ですよ! お金を持っているアピールをしましょう。資産運用ですよ」

    かーくん 
    「おまえ中々ゲスいな!!!」



    みつを  
    「ダイエットですね」

    かーくん 
    「お前は毎回リアルな所を突いてくるな! 的確な所を突きやがって!」
  • あべしん 
    「まあ、普通にオシャレを最大限するとか?」

    かーくん 
    「それは俺がオシャレじゃないということかい?」

    みつを  
    「……」

    あずにゃん
    「……」


    かーくん 
    「ぎゃ、逆に! 逆に俺のモテそうなところは!?」


    あべしん 
    「そこそこお金を持っていて、明るい!」

    あずにゃん
    「話が途絶えない!」

    みつを  
    「料理もできる!」


    かーくん 
    「そういうの! そういうのもっとちょうだい!」


    あべしん 
    「……でもなんか怖いですよね」

    かーくん 
    「ん?」


    あべしん 
    「そこそこお金があって、料理もできて、いいところしかないのに恋人ができない」

    かーくん  
    「確かに。なんでかな?」

    あずにゃん 
    「やはり、にじみ出る気持ち悪さが原因では……」

    かーくん  
    「にじみ出る気持ち悪さのことは言うなよ!!!」
  • こうして、何の生産性もない会議は続いていくのであった……。
    (完)


    ※この記事の執筆時、彼らには恋人がいませんでした。しかし、そこからの数日間で奇跡が起こる可能性も0ではありません。その場合はサイコミ公式Twitterにてご報告させて頂きますので、念のためご確認ください。

  • ~編集後記~
    こんな彼らにすら、過去とはいえ恋人のいた時期があったようで誠に遺憾です。
    筆者Oだけは皆様の味方です。メリークリスマス!




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