『エドデッド』特別企画
検証! 素人に真剣は扱えるのか?
~ある日のサイコミ編集部~
おはようございます~ オックンさん、最近企画立ち上げもバリバリで、絶好調ですね~!まあね!! もう~~~最近はめちゃ忙しいよ!! つーことで、この単行本校正、よろしくぅ~~!!!
あ、うす…!
おつかれ~。オックン、近頃ほんと仕事の調子いいね~。 やっぱり、この前のプロレス修行が効いたのかな?
そうですね! あれから、体の底からエネルギーが溢れてきますわ! ガハハ!!
その調子で頑張ってよ~
(…確かに、あれからオックンさんは見違えるように変わった……)
(やっぱり…肉体的に強くなったことで、仕事にも活力が生まれているのか…)
(俺も、強くなればもっと仕事ができるようになるのか…?)
(でも、どうやって……)
…これだ!
(『エドデッド』1話40P)
サイコミで好評連載中『エドデッド』の主人公、山田浅右衛門…
圧倒的な剣戟の実力…屍人が跋扈する絶望的な状況でも、刀一本で生き抜く強さ…
浅右衛門のようになれたら、自分も編集者として一歩高みに行けるのでは……
しかし…
「刃物で人間の首を切断するのは容易ではない」(『エドデッド』1話37P)
真剣なんて、そう簡単に扱えるものじゃないか……
素人が浅右衛門になるなんて、夢のまた夢か…
………
…いやッッ!
そんなこと…
……
やってみなきゃ分からないじゃないか…!!
…挑戦する前から諦めるなんて…男じゃない!
「素人が真剣を扱う」のが本当に無理なのか
自分が身をもって検証します…!
ということでこの度、「戸山流備前会」の道場にお邪魔しておりますッッ!
よろしくお願いいたします! スミダ師範!よろしくお願いします。
「人斬りの難しさを検証したい」とのことでしたね。
はい! まさか本当の人間を斬るわけにはいかないので…!
「濡れ巻き藁斬り」でしたら疑似的にそれに近い体験ができるかと。
巻き藁斬り…! 確かに試し斬りでよく斬っているイメージです。しかし、ぶっちゃけたところ、巻き藁なんて意外と簡単に斬れてしまうんじゃないですか…? 本当に人斬りを疑似体験できるんでしょうか?
ふむ…それでは実際にやってみましょうか。
まずは技術的なことは何も教えないでください! 素人が斬れるかを確かめたいので…!徹底的な安全指導のもと、いざ実践ッッ!!
(真剣…想像していたよりもずっと重く感じる……)
(そして何かあったらと思うと全力で振りぬくのも怖い…)
(ええい…ままよッ! )
バスッッ。
……あれ? 刃が、止まった……ふむ。早速ですが、技術指導に入りましょうか?
いや! いや! いや! ちょっと待ってください! 今のは軽い準備運動です! ワンモアチャンス!
エドデッドの世界なら先ほどの失敗で屍人に襲われ、ジ・エンド。あえなく屍人の仲間入りを果たしているところですが…
泣きの一回…
続行。
…先ほどの失敗ですべて理解(わか)りました。
ほう…
失敗の原因は「恐れ」!初めて真剣を扱う緊張感で身体が強張っていました…これじゃあ斬れるものも斬れねえってもんです。
(エドデッドの世界を想像して…)
(自分を…追い込めッ!)
ダリャッッ!!!
斬れたッッ…!
ほお…やりますね。やはり先ほどつかんだ感覚は間違っていなかった…! 今なら何でも斬れる気がします! サムライマスター・タマイが爆誕しましたわ…
では、小手調べは終わりということで、本番いってみましょうか。
…え?
今斬ったのは、巻き藁半畳分です。巻き藁一畳分で人間の腕、首と同等の強度ですから、ここからが本番です。
も…燃えるじゃないですか…!
(これが人間の首と同等の強度…)
(つまり、これが斬れれば浅右衛門…)
ゴクリ…
バスッッ。
あれぇ~~~~? おかしいな、デジャヴだ…… 全部理解(わか)ったハズなんだけどな…
全然分かってなかったようですね。では、技術的な補足に入りましょう。
ハイ……
この斬り口、 ゆるーくカーブしてるでしょ。これはね、刃筋がブレてるんですよ。こうなると斬れない。途中で刃が止まってしまいます。
刀を振り下ろすときは一直線に。そして上体も動かさず安定させなければなりません。一畳くらいなら、この点を押さえるだけでも十分斬れるハズです。
刃筋…上体の安定…
(『エドデッド』1話39P)
…確かに、浅右衛門も背筋をピンと伸ばして斬っていました…! なるほど!指導を受け、再挑戦…!
スパッ
お見事! 今のは良い刃筋でした!
斬り口も一直線になっている…!
フフ! 一度ミスしたとはいえ、即座に修正して首斬りをものにしましたよ…! これは現代の山田浅右衛門を名乗っても過言ではないのでは!
はは、そうですねぇ。では…
次、三畳巻きいってみましょうか。
えぇ……?
山田浅右衛門を名乗るなら、胴体くらいは容易に切断できないと話になりません。
三畳巻き…細身の男性なら隠れてしまう太さ…
太……。じゃあ、これが斬れたら浅右衛門ですかね…?いえ、胴体斬りなら五畳巻きが相当する太さですね。いきなり五畳はキビシイと思うので、三畳が斬れたら挑戦しましょう。
ご、五畳…… まだこの先が…
今回は先に言っておきます。一畳と三畳では求められる技術が変わってきます。
まず「間合い」。一畳までは刃先から少し下の辺りで斬れていたかと思いますが、この太さになると刀の「腹」で斬らなければ両断することはできません。
より近づく必要がある、と。
はい。そして「刃の入れ方」これも気を付けねばなりません。一畳のとき、一度失敗しましたよね?
一畳で失敗した際の斬り口
あのときのように横から刃が入ると、巻き藁の繊維が邪魔をするため、斬りづらくなってしまいます。そういう理由もあったんですね…! 確かに、成功したときは刃が縦に入っていました…
成功した際の斬り口
そして「全力で刀を振ること」。先ほどタマイさんも言っていましたが、緊張したり遠慮して中途半端な力で振ると、この太さは斬れません。刀を強く握りしめ、全力で振ってください!
…押忍ッ!!
(浅右衛門に……俺は成るッ…!!)
バチンッッ
これは……斬れねえや……真剣の怖さに打ち勝てない…! そのせいで全力で振れない… さっき教えてもらった間合いも刃の入れ方もなってないし…
あとなんか「バチン」って聞いたことないような音がした気が…
あっ…!
刀が…!
曲がっているッ…!!
やらかしました。今のは刃筋も良くなかったですね…緊張がとれませんでしたか。
途中で刀が止まった結果、変に力が加わって曲がったんでしょうね。
すみません… ちなみに、この刀はおいくらなんでしょうか…?
練習刀のため比較的安めなので、40万円くらいですかね。
ヒエッ…… ローン、組めますかね…?
あ~大丈夫ですよ、気にしなくて。
ん? 一体、何を…?
ぐいっぐいっ
うん。戻りましたね。えっ そんな感じで戻せるんですか…
刀は硬さとしなやかさを兼ね備えていますからね。だから曲がることはあってもなかなか折れないんですよ。
はぇ~~…
いや~しかし、三畳より太いのは斬れる気がしないですね… 武士の魂である刀も曲げてしまいましたし…
今回は自分はここまでです……ということで…
スミダ師範!
五畳斬りのお手本、お願いしますッ!!
いいですよ。そんなやすやすと…
一畳巻き藁五本をバラし、一本の五畳巻き藁へ…
タマイもすっぽり隠れる太さ…!
圧倒的ッ…
圧倒的ッ…
存在感ッッ!
達人の技、この目でしかと見届けさせていただきます!では、いきます。
ゴクリ……
バッッ
斬ッッ
!!!!!!!
スミダ師範の斬り口
自分で真剣を扱ったからこそより分かる、見事な刃筋です…
さすが達人、五畳をこうもやすやすと…これなら屍人も一刀両断ですね…屍人(?)は斬ったことないですねぇ。「豚」ならありますけど。
豚を!?それは…腕試し、剣術考証のようなもので…?
そうですね。昔は肉屋さんで豚の頭が売っていたんですよ。それを、台に乗せて、顎から頭にかけて、斬っていきました。
イメージ図
問題なく斬れたんでしょうか…?結果だけ言うと、斬れました。
しかしですね、刀のほうも全く無事というわけにはいきませんでした…
牙や骨がある部分を斬っていくと、だんだんと刃こぼれしていくんですね。
また、脂の問題もあります。脂でギトギトになった刀だと、刃が入っていきません。
なので、途中からは一太刀ごとに食器用洗剤で刀を洗っていましたね。ママレモンで。
エドデッドの世界にママレモンは無いから、いっそう大変だ…
では改めまして…スミダ師範! 本日は貴重な体験をさせていただき、ありがとうございました!
ということで、この度検証として真剣を扱ってみましたが、感想としましては…
巻き藁斬り、できなくはなかったのですが…失敗もしましたし、スミダ師範に教えてもらったから斬れたところが大きかったかなと…
そもそも『エドデッド』の屍人は動きますしね。動かない巻き藁一つで右往左往しているようではあの世界で生き残れないでしょう…
やはり山田浅右衛門の技術が為せる技でした…
最後に、自分からライフハックをお届けします。
戦う姿が見たい方は、『エドデッド』を読みましょう!!
それでは!
取材協力先:戸山流備前会
(https://iai-yabusame.com/)
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