『剣に焦ぐ』特別企画
『剣に焦ぐ』の作者って実際剣道やってるの?へっぽこ編集者3人が試合を挑んでみた
『剣に焦ぐ』の作者って実際剣道やってるの?
へっぽこ編集者3人が試合を挑んでみた
- サイコミ読者の皆様はじめまして。
編集部いち豹柄を愛する豹柄おじさんこと梅です。
- 「突きぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!」
はい。
というわけで、今回お届けするコラムは今世の中で最もアツく、ガチンコで剣道を描いている漫画
『剣に焦ぐ』
その作家・浅岡しゅく先生は本当に剣道ができるのか?できるとしたら強いの?について検証していきたいと思います。
本作は“鬼子”と呼ばれ、キレると手が付けられないほどの不良少年だった主人公の了一が、熱血警察官であり剣道を愛する小宮と出会い、剣道の世界に入っていく――――という作品なのですが……
浅岡先生の剣道に対する情熱とこだわりの筆致により、とにかく剣道シーンが見たことないほどにアツくてリアル!!
そんなところが見どころのひとつの本格剣道漫画となっています。
- 私も本作を担当して以来、浅岡先生の剣道に対する知識や情熱には舌を巻くばかりで、打ち合わせ中、
「この前の全日本大会の○○選手は~」「上段選手で強い人と言えば昔××さんという方がいて~」
など、止まらない剣道トークに圧倒されるばかり。
- ここまで剣道熱がある人が描く「剣道漫画」なら、読者の皆様も満足して読んでくれるだろうと思っていたのですが……。
連載開始後、とあるコメントを見て担当は顔面蒼白となりました。
- 「やってるよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」
しかし確かに担当自身、浅岡先生の剣道熱はたびたび聞いてはいるものの、実際にやっている姿は見たことがない。
剣道三段と言えば最短でも約3年の修練を積まないと受けられないほどのもの。
なのにそれが伝わっていないということはゆゆしき問題であり、これでは『本格剣道漫画』を謳っていながら説得力に欠ける!
と、いうわけで……。
前置きが長くなりましたが、浅岡先生の剣士としての実力を図るべく、編集部から3人の刺客を用意し勝負をしかけてきました。2019年2月某日
都内 剣道場『剣道みちの子道場』
梅
「浅岡さんおはようございますー。今日はよろしくお願いいたします」
- 浅岡しゅく先生(以下、浅岡)
「おはようございます……あの……今日の取材ですが、剣道師範とお話しするって聞いてたんですが……皆さんは?
そしてなぜ道着を着て素振りしてるんですか……?」
- 梅
「まぁそんな事は置いといて。とりあえず浅岡さんの私物防具一式も持ってきているので、こちら着てもらっていいですか」
浅岡
「え……なんで私の防具もあるんですか……」
梅
「まぁまぁ、とりあえず更衣室があるので着替えてきてください」
浅岡
「は、はぁ……」
- 浅岡
「あのー……着替えましたけど……」
- 一同
「ガチ装備やんけ!!!」
浅岡
「中学校から使ってる奴ですし……」
一同
「中学校から!!!」
練習時「いくら素人言うても浅岡先生には勝てるでしょー」「俺だって毎日駅伝に備えて走りこんでますし負けませんよ」と調子に乗った3人に、にわかに戦慄が走った。
- 梅
「そ……それじゃあ早速、本日のメインイベントをはじめましょうか……!」
浅岡
「???」
梅
「題して!
『本格剣道漫画なんて謳ってるけど浅岡先生って本当に剣道できるの? サイコミ編集部の最強ヘッポコ3剣士よ、確かめてくるのだ!!』」
- 浅岡先生に挑戦するのはこの3人。
・第一試合 浅岡先生 vs チェリーサツキ
一人目の刺客はチェリーサツキ。試合への意気込みを聞くと――
チェリーサツキ(以下、チェリー)
「特に……あとチェリーって言うのできればやめてほしいんですけど」
なんとも聞きがいのないコメント。お前それでも編集者か。
- 早速試合開始。
と、その前に浅岡先生以外誰も防具をつけられないので師範の手をお借りして防具を装備。
- 「いざ、参らん!!」
- チェリー
「お…重い……周りが見えない…もうムリ……」
総重量10kg以上になる防具を初めてつけたチェリーが小声でブツブツ言ってるのを無視し、早速試合の説明にとりかかる梅。
梅
「じゃあまずは試合場の入り方からなんだけど……」
浅岡
「あの……」
梅
「ん? どうしたんですか?」
浅岡
「企画趣旨は理解できたんですけど……さすがに3人相手は体力的にキツいんですが……」
梅
「何言ってるんですか!こちらは素人ですよ!むしろそのくらいハンデが……」
浅岡
「原稿」
梅
「えっ?」
浅岡
「原稿が遅れてもいいというのなら……」
梅
「確かに3人相手はやり過ぎですね。素人とはいえ浅岡先生の事を配慮しないこんな企画を考えた奴は人間以下のクズですね!あとでキツく叱っておきます!
おい!そこの二人!」
- 梅
「素人が三段持ちの先生にいきなり勝負を挑もうなんて、おこがましいにもほどがある。
まずは二人で勝負して勝った方が先生に挑む権利を得られる!
さぁ尋常に勝負いたせい!」
- 師範
「はじめ!!」
- K谷
「めぇぇぇぇぇん!!!!」
チェリー
「どぉぉぉぉぉ」
梅
「チェリーもっと声出せー!!!」
試合が始まると道場も熱を帯び、一気に部活のような雰囲気に。
- 浅岡
「K谷さん、センスありますね。ちゃんと竹刀の間合いわかってますし、当て勘ありますよ彼」
梅
「確かにそうですね。しかも現役で運動してて体力もありますからね、これは厄介ですよ……」
浅岡
「ブランクある経験者よりセンスある素人の方が強い事、ありますからね実際」
おもむろに漫画のような会話を始め竹刀をグッと握りこむ浅岡先生。
その時……
- K谷
「どぉぉぉぉぉ!!!!」
師範
「胴あり!」
勝者、K谷!
チェリーが面を放った刹那、颯爽と脇を抜け胴を決めるK谷。
未経験でこの動き、只者ではない感を出している。
- K谷
「さぁ、浅岡さんはやく戦(や)りましょう」
剣道の楽しさを知り試合いたくてウズウズしているようだが、そうは問屋が下さない。
梅
「確かにK谷は権利を得た。
しかしそれは私を倒してからだ」
- K谷
「え……なんで」
梅
「いいから早く防具をつけて立会いなさい」
今回の企画の真の意図は
「『剣に焦ぐ』の作家と担当は剣道経験ちゃんとありますよ!それを証明するために素人瞬殺しますから見てろよ~!」
というもの。
他のヘッポコ編集には早々に退場してもらい、最終的には浅岡先生と担当の一騎打ちまでが台本だった。
しかし、このままではセンス○のK谷に先生が苦戦し企画倒れになる可能性を感じ、担当が梅雨払いをするために乱入したのだった。
師範
「始め!!」
梅
「しゃあああああ!」
K谷
「やああああああ!」
- 体力面で長期戦は難しいと踏んだ梅は開始直後から速攻をしかけるが足がついてこず決定打が入らない。
その一方でK谷はマイペースに攻めるも、剣さばきが甘くなかなか打突が決まらない。
- 中盤、スタミナが切れてきた梅はあえて防御を捨て、小手と面を晒し現役時代に得意としていた引き技を使うが、未経験者相手にフェイントは通じず不発。
結果……
師範
「やめ!」
まさかの泥仕合の末、引き分け。
しかしすでに息を整えるK谷に対し、肩で息をし前日の酒が逆流しはじめうなだれる梅。
ここで梅は無念のリタイア。
- 梅
「浅岡さん…すみません……俺の無念を…晴らしてください……」
浅岡
「(何いってんだこいつ…)」
面の奥から担当に冷たい目線を浴びせかける浅岡先生。最終戦 浅岡先生 対 K谷
ついに始まった本企画最終決戦。
高いセンスと漫画編集者にはあり得ないほどのスタミナを武器とするK谷に対し、剣道三段の腕前を持つ浅岡先生はどう立ち回るのか――
へっぽこ勢が見守る中、師範の声が響いた。
師範
「始め!!」
- 勝負は一瞬だった。
開始直後、K谷の放った面を避け、振り返ったところを浅岡先生の突きがK谷の喉に突き刺さった。
- 浅岡
「突きぃ!!!」
- ヤラせ手加減一切なしのガチ突き。
師範
「突きあり!」
小宮が試合で見せたような鮮烈な突きを決めた浅岡先生に一同も大喝采の中、試合は終了!!
最後はきっちり先生が決めて頂き剣道有段者としての面目躍如、
「『剣に焦ぐ』も本格的に剣道をやってきた作家によって描かれている」
ということが証明できましたね!
え?
担当は途中で力尽きてるし、浅岡先生の突きのシーンもないって?
…
……
………
- メェェェェン!!!!
決して写真担当のあべしんがボケーっとしてて撮り忘れていたというわけではありません。
……が、一応読者の思いを代表して面を入れておきましたのでこれでご容赦ください。
- はい、ということで今回の『剣に焦ぐ』剣道コラムはいかがだったでしょうか。
これを機に『剣に焦ぐ』を読んでいただければ幸いです。
- 主人公たちのドラマと、迫力ある剣道シーンにアツくなれること間違いなしな本格剣道漫画『剣に焦ぐ』(水曜更新)を何卒よろしくお願いいたします!
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