『TSUYOSHI 誰も勝てない、アイツには』特別企画
ファウルカップがあればツヨシの金的を防げる説
某月某日。
サイコミ編集部内で、3人の男が集まり、なにやら企んでいた―――
- リーダー
「ついに届いたぞ、あれが!」
- あべしん
「リーダー!やっと届きましたか! 結構かかりましたねー」
- K谷
「時間もそうだけど、金も結構かかりましたよね」
- サイコミ編集部内において最も危険、というか、何をしでかすのかわからない3人組。
今回は、『TSUYOSHI 誰も勝てない、アイツには』の電子単行本販売促進のための記事企画を練っていたようだが…?
リーダー
「まあ、その分、いいブツが手に入ったということでね」
そんな会話の中、机に広げられたもの。それは――
リーダー
「じゃ――ん!!」
- K谷・あべしん
「おおー!!」
リーダー
「さらに! こっちも!」
- K谷・あべしん
「おお―――!!!!」
……なにこれ? と思ったかもしれない読者の皆様にご説明。
最初の画像は見ての通り、工事現場などで使われる巨大ハンマー。
二つ目の画像はファウルカップ、あるいは股間プロテクター。球技や格闘技で使う、股間を防御するために使用するもの。
あべしん
「これで、企画も実行できますね!」
K谷
「単行本発売記念の記事企画」
K谷・あべしん
「『ファウルカップがあればツヨシの金的を防げる説』!」
K谷
「ほらほら、あべしん早くつけてみてよ」
あべしん
「では、さっそく」
嬉々としてプロテクターを装着するあべしん。
その顔には、小学生のような無邪気な笑みが。
あべしん
「どうですか!」
- あべしん
「ほら、K谷さんも!!」
K谷
「よし!」
言われるがまま、ファウルカップを装備するK谷。
「これおさまんないよ」と謎のアピールをかましつつはしゃぐその姿は、とても三十路を迎え結婚を控える男には見えない。
K谷
「リーダー! どうですか!」
リーダー
「めっちゃええやん!」
- K谷
「確かに、心なしか強そうに見える!」
リーダー
「まあ、まずは性能テストだな」
K谷
「よし、行くぞあべしん!」
股間プロテクターを装備したあべしんを何のためらいもなく攻撃するK谷。
果たして、その性能は……
- あべしん
「ぜんっぜん、効きませーん!」
K谷
「まじか……すげえなあ」
あべしん
「K谷さんも試してみましょうよ! マジですごいっすよこれ!」
あべしん
「いきますよー!」
- K谷
「マジだ。全然ダメージない! すげえ!」
リーダー
「お前たち、本命はこっちだぞ!」
- リーダー
「『TSUYOSHI』みたいに攻城兵器とはいかないまでもね、これくらいは必要でしょ!」
- あべしん
「じゃ、さっそく試してみましょうよ!」
リーダー
「やりますか!」
- しかし、リーダーがその木槌を振り下ろそうとした瞬間!
管理チームの偉い人
「コラ――――――!!!」
- 管理チームの偉い人
「何やってんだお前ら!!!」
- 数分後。そこには神妙に立っている馬鹿3人組の姿が……
- 管理チームの偉い人
「で、どういう経緯であんなことしてたのか、説明してもらえるんだよね」
リーダー
「えっとですね、その、『TSUYOSHI』の電子単行本の販促のためにですね
記事を作ろうとしてまして……股間をハンマーで殴るという……」
管理チームの偉い人
「販促!? それでどうして販促になると思ったわけ!?」
リーダー
「えっと、それは……ほら、K谷君、説明して」
- K谷
「えっ!? その、企画もってきたのはあべしんなんで……」
- 管理チームの偉い人
「じゃあ、あべしん君説明してくれる?」
あべしん
「えっ……それは、その……」
管理チームの偉い人
「あべしん君……記事を作ろうとするのはいいんだけどね、やっていい企画と悪い企画があるよね? 人の股間をハンマーで殴ろうとするのはどっちだかくらい、わかるよね?」
あべしん
「すいません……」
リーダー
「すいません……彼には自分からもきつく叱っておきますので……」
- 管理チームの偉い人
「とにかく、この企画はなし! もっと安全な企画で記事作って!」
リーダー
「はい、はい……二人にもよく言って聞かせますので……」
最後まで二人のせいだと言い張るリーダー。彼は、責任逃れのプロである。
- リーダー
「と、いうわけで。安全な企画を考えましょう」
K谷
「なにが「と、いうわけで」ですか! リーダーが責任を取るんだと思ってたから企画に賛成したのに! 首になったらどうしてくれるんですか! 僕は新婚なんですよ!?わかってますか!?」
先程の光景を忘れていないK谷、リーダーに大反抗。
それもそのはず、彼は度重なるギャンブルでの借金を抱えているにもかかわらず結婚した。今、首を切られるわけにはいかない。
が、そんなことはリーダーにはどこ吹く風。屑、ここに極まれり。
リーダー
「いい言葉があります。部下の手柄は上司の手柄。上司の責任は部下の責任」
K谷
「我々は、ついていく人を間違えた……」
リーダー
「で、結局、企画どうしましょうか」
K谷
「知りませんよもう……責任を押し付けられたくないですし……
インタビューでもなんでもすればいいじゃないですか」
リーダー
「もうそれでいいじゃん」
あべしん
「え」
リーダー
「今回の企画は「『TSUYOSHI』作者、丸山先生の御宅訪問! 突撃インタビュー!」で!」
K谷
「いいんですか!? こんななげやりな決め方で!?」
あべしん
「ていうか、最初からこっちにしとけばよかったかもですね」
リーダーの鶴の一声により、企画が決定。
この3人でまともなインタビューができるのか不安だが、果たして……?
※この時点で、本来お届けするはずだった企画が変更になったことをお詫びいたします。
- グダグダだった会議は終了し、いつのまにかインタビュー当日に。
馬鹿3人組はついに、丸山先生のご自宅に足を踏み入れてしまう。
リーダー
「本日はお忙しい中、誠にありがとうございます。
ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いいたします」
丸山
「リーダー、ご無沙汰してます。本日はよろしくお願いします!」
- 実はリーダーと面識のあった丸山先生。
それもそのはず。丸山先生はもともとは、同じサイコミ内で働く同僚同士だったのだ。
リーダー
「……というわけで、お伝えした通り、本日は『TSUYOSHI』の電子単行本発売をサイコミ全体でバックアップするということで、販促の記事企画のためのインタビューを行わせてもらおうと」
あべしん
「本当は別の企画を記事にする予定だったんですけどね」
リーダー
「こら! あべしん!」
丸山
「別の企画? どんなことをやるつもりだったんですか?」
あべしん
「かくかくしかじかということで……」
リーダー・K谷
「「おい、やめろ!」」
今回、インタビューに至った経緯を丸山先生にお伝えするあべしん。
はじめは笑っていた丸山先生の顔が、だんだんとあきれていく。
丸山
- リーダー
「それもこれも馬鹿二人のせいでして……」
K谷
「リーダーもノリノリだった!」
あべしん
「そもそも、木槌を買ったのはリーダーでしょ!」
この期に及んで、二人に責任を押し付けるリーダーに、ブーイングを飛ばす二人。
読者諸君よ、これがダメな大人である。ダメな大人の見本市。
丸山
「もう一度言いますけど……アホじゃないですか?」
リーダー・K谷・あべしん
「「「俺は違いますよ!」」」
丸山
「いやまあ、でも、ちゃんと記事を作ってくれるって言うなら、やっぱりうれしいです。
今日はよろしくお願いしますね」
リーダー
「改めまして、よろしくお願いします」
- 丸山
「で、えっと……
すいません、原稿もあるので、早めにインタビューに移ってもいいですか?」
リーダー
「ええ、もちろん。ほら、君たち、インタビューしなさい」
K谷
「あべしんからやって」
あべしん
「そうですね……それじゃあ……
『TSUYOSHI』といえば、読者もやっぱり金的のイメージが強いと思うんですけど、
丸山先生は金的シーン、どういう風に感じながら描いてるんですか?」
リーダー
「うんうん、丸山先生も男だから、金的に対する恐怖感はあるでしょうね」
丸山
「最初の質問、それでいいんですか……?
えっと、まあ、やっぱり痛そうだな、食らいたくないなーって思ってますけど……」
- あべしん
「なるほど……
今までで一番、印象に残ってる金的シーンはどこですか?」
丸山
「3話冒頭の、犬を連れてるやつを倒したときとか、結構気に入ってます」
- K谷
「愛之助以外で強敵っぽい空気を出した最初のキャラだね」
丸山
「そういうことですね」
あべしん
「なるほど……じゃあ、丸山先生にとって金的とはなんですか?」
丸山
「すいません、金的以外の質問ってないですか?」
誤解を招かないためにご説明しますが……
『TSUYOSHI』は金的漫画ではなく、ギャグ&バトルアクション漫画!
- リーダー
「まったく、子供か! あべしんじゃだめだな。ここは担当編集に聞いてもらおう。
『TSUYOSHI』の分析も仕事の一つだし、読者が何を聞きたいかわかってる筈でしょ?」
K谷
「えー……じゃあ、そうですね。『TSUYOSHI』は、サイコミでいま、不動の一位の座を手に入れたわけじゃないですか」
丸山
「まあ、そうですね。本当にありがたいです」
K谷
「じゃあ、丸山先生は今、どのくらい貯めこんでるのかなって……」
丸山
「ちょっ……K谷さん、その質問、本当に答えなきゃダメですか……?
それ、あなたが知りたいだけですよね?」
K谷
「いや、読者もみんな気になってますって!
だって原稿料以外にも、先読みとかスペコンの分も貰ってるんでしょ!?」
丸山
「確かに貰ってますけど……記事に乗せたら、皆さん困るんじゃないですか?」
リーダー
「もういい! 丸山先生に失礼でしょ!
いやもう、ほんと、馬鹿二人のせいで大変なご迷惑を……」
あべしん
「そこまで言うならリーダーがインタビューすればいいじゃないですか!」
K谷
「そうだそうだ!」
リーダー
「ぐっ……そうですねえ……」
丸山
「何でも聞いてくださいよ。答えられないこともありますけど」
リーダー
「電子単行本も発売。人気も常に一位。ここまでこれたのは、丸山先生の実力もそうですけど、読者の皆様からの応援も大きいと思うんですよ。
せっかくなので、この場を借りて読者の皆様に何か一言をいただければな、と」
K谷
「それ、最後にする質問じゃないですか!」
リーダー
「少なくとも君たちよりはまともな質問をしました。
で、丸山先生。どうでしょう?」
丸山
「読者の皆様に、一言ですか。え~~っと……
いつもTSUYOSHIを読んでいただき、ありがとうございます。
この作品は、”軽~~~い気持ちで読めて、でも実は見ごたえのある絵作り”を目指して描いています。アホみたいなシーンをどれだけ真面目に描けるかがこの漫画の真骨頂だと思っているので、ぜひそのあたりを楽しんでいただけたら幸いです!」
リーダー
「なるほど、ありがとうございました。電子書籍、絶対ヒットさせましょう!!」
というわけで、宣伝させていただきます。
『TSUYOSH』の単行本第一巻が電子書籍でついに発売!
- お買い求めは各種電子書籍ストアへ!
丸山
「本当にこれで大丈夫ですか?」
リーダー
「大丈夫です。ほら、君たち、撤収するよ」
丸山
「じゃあ、記事についてはよろしくお願いしますね」
リーダー
「もちろんです。お任せください。
本日は急な申し出にもかかわらず、ありがとうございました」
丸山
「こちらこそ、ありがとうございました」
到底まともとはいいがたいインタビューだったにもかかわらず、笑顔で対応してくださった丸山先生。その懐の広さに感心しながら、3人はご自宅を後にする……
丸山先生、ありがとうございました!!
- ~後日~
リーダー
「……どうすっかなー、これ」
企画が通る気満々だったリーダー、木槌を眺めながらため息。
こんなものが経費で通るわけがない。
リーダー
「自腹かあ……」
- 彼はしばらくのち、木槌を肩に担ぐと、夜の渋谷に消えていった……
※本記事内では過剰な演出がありましたが、股間をハンマーで叩こうという企画は実際に行おうとして、本当にめちゃくちゃ怒られました。
※実際にはリーダーは夜の渋谷に消えていません。ハンマーは編集部内に鎮座しています。
- 『TSUYOSHI 誰も勝てない、アイツには』はこちらから!
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